2枚差し！グラフィックボードの増設をしてみよう｜メモリ増設や使い分けは？

グラフィックボードはパソコンの画面に映像を映し出すために欠かせないパーツです。グラフィックボードを増設することによって、パソコンのグラフィック処理性能を向上させることができます。

ゲームが安定して描画される・動画編集が速くなるなどのメリットがありますが、グラフィックボードを安定して動かすためにはパソコンのGPUとの相性が重要です。ポイントはいくつかあるのでチェックしておきましょう。

この記事では、グラフィックボードを増設するメリット・増設手順・注意点について解説します。おすすめ商品も必見です。グラボは2枚差しで使い分けできる？・メモリ増設はできる？などの疑問にもお答えします。

動画を見ていると突然止まったり、動きが遅くなったりすることがあります。これはグラフィックボードの頭脳にあたる「GPU」に負荷がかかっているのが原因で、このような現象が起きてしまいます。

グラフィックボードを増設すると1つのグラフィックボードにかかる負荷が減るので、映像・画像の表示スピードが速くなります。動画編集ソフト・3Dデザインソフト・画像編集ソフトを使っていて、ソフトの動作が重いと感じている人はグラフィックボードを増設することで問題を解決できる可能性が高くなります。

美しい映像である3Dグラフィックのゲームが当たり前になり、キャラクターの描画も非常にリアルで、実写のように錯覚してしまうことがあります。このようなゲームをスムーズにプレイしたい場合にはグラフィックボードが欠かせません。

グラフィックボードを増設すると、GPUの負荷が分散されゲームが安定して描写されるので、ストレスなくゲームをプレイできます。一定のレベルのグラフィックボードがないと動作しないゲームもあるので、事前に手持ちのパソコンに搭載されているグラフィックボードについて確認することをおすすめします。

1つのパソコンに複数のモニターをつなぐマルチモニターは、ワード・エクセルなど複数のプログラムを同時に表示させながら作業できるので非常に便利ですが、接続するディスプレイが多くなるほどパソコンへの負荷が大きくなります。

そんな時にグラフィックボードを搭載しておくと、負荷が大きくなってもマルチモニターの動作が滑らかになります。マルチモニターを常に使う人にはグラフィックボードの増設がおすすめです。

グラフィックボードは数あるパソコンのパーツの中でも消費電力が高いパーツになります。グラフィックボードを増設しても、パソコンに入っている電源ユニットがグラフィックボードの消費電力に対応できないとグラフィックボードが使えません。必ず事前に確認しておく必要があります。

電源ユニットは容量の50%ほどの負荷で使うのが最も安定します。グラフィックボードだけでなくCPUなど他のパーツでも消費するので、それぞれの消費電力を確認して、グラフィックボードを増設しても大丈夫かどうかを確認しましょう。

増設したグラフィックボードを稼働させるにはグラフィックボード専用の電源ケーブルである補助電源コネクタが必要になります。コネクタのピンの種類は8 + 6ピンだったり、8ピンだったりグラフィックボードによって必要となる補助ピンの数が異なるので注意が必要です。

消費電力の低いグラフィックボードであれば補助電源コネクタを必要とせず、ほとんどのパソコンで使えます。しかし、高性能なグラフィックボードほど補助電源コネクタが必要となるので、ゲーミング用ではないパソコンを使っている人は気を付けましょう。

グラフィックボードはパソコンケースを外して中に設置するので、グラフィックボードがパソコンケースの中に収まるかどうか確認することが大事です。パソコンケースを外さなくても目視で分かることもありますが、微妙な場合は蓋を外して中を確認した方が確実です。

グラフィックボードのサイズにもよりますが、パソコンの中に30cmほどの余裕があれば比較的大きなグラフィックボードも入ります。

グラフィックボードを増設する際、パソコン内部にあるPCI Expressスロットを使います。PCI Expressスロットにグラフィックボード以外のパーツがついていると、グラフィックボードを取り付けることができません。

また、大きなパソコンであればPCI Expressスロットが複数ついている場合もありますが、小さなパソコンにはPCI Expressスロットがない場合もあります。グラフィックボードによってはPCI Expressスロットを2つ必要とするものもあるので、事前に確認することが大切です。

グラフィックボードはCPUから命令を受けて映像の描写を行うので、グラフィックボードの性能が高くてもCPUの性能が低ければ、映像が描写されるまでの時間が長くなってしまう可能性があります。

つまり、グラフィックボードはCPUを始めとする他のパーツと作用しあって真価を発揮するので、グラフィックボードだけ性能を高めるのではなく全体のバランスを見ることが必要です。

最初にグラフィックボードを交換する前に、以下の手順で古いグラフィックボードのデバイスドライバを削除します。古いグラフィックボードのデバイスドライバが残っていた場合、調子が悪くなり、不具合が起こる危険性があるからです。

1. DDU（Display Driver Uninstaller）をダウンロードする
2. 前のグラフィックボードのデバイスドライバを削除する

グラフィックボードの調子が良くなく、クリーンな状態にして新しいドライバを入れたい場合にもこの作業を行うことがあります。ただ、この作業は最近は必須ではなく、同じドライバが使えたり、インストール時に古いものを自動削除するものが多くなっています。

グラフィックボードを増設するにはパソコンの電源を落とした状態で作業します。パソコンを起動したままで作業をすると、パーツが故障したり、感電したりする可能性があるからです。具体的には以下の手順で作業をします。

1. 起動している場合はパソコンをシャットダウンして裏にある電源をオフにする
2. 電源ケーブルを外してしばらく時間を置いて放電する。
3. パソコンに接続しているUSBケーブル・ハブなどを外す

直後は中に電気が残っているので、パーツが通電する危険を防ぎましょう。トラブルなく作業をすすめるためにも電源を落とすことは大切ですので、必ず実行してください。ケースがネジ止めされている場合はドライバーも必要です。

グラフィックボードを増設した後にパソコンを起動すると、画面が狭くなっていることがあります。これを修正するために以下の手順でディスプレイ設定を変更します。

1. デスクトップ画面から右クリックをしてディスプレイ設定に行く
2. ディスプレイのサイズを「1024×768」から「1920×1080」に設定し直す

次に新しいドライバは以下の手順でインストールします。インターネット経由で設置したグラフィックボードのドライバをダウンロード可能です。

1. グラフィックボードの公式サイトにアクセスする(NVIDIAのグラフィックボードの場合は「NVIDIAドライバダウンロード」というサイトにアクセスする)
2. サイトで増設したグラフィックボードの情報を入力し専用のドライバを検索する
3. 検索結果に出てきたドライバをインストールする

NVIDIAドライバダウンロードというサイトは以下のリンクから確認できます。

ドライバを再インストールしたらパソコンを再起動します。再起動後に実際にゲームなどの高い解像度の映像を映すプログラムを動かして動作を検証します。描画状態に変化が見られれば増設成功です。

ご自身でグラフィックボードを設置するのに自信がない方は、ドスパラに一括で依頼できます。また、取り付けてグラフィックボードに関する相談も受け付けているため、PC初心者の方にもおすすめのサービスです。依頼料は4,500円+部品代からになります。

グラフィックボードの頭脳であるGPUを作っている会社は主にNVIDIA社とAMD社の2社で、2社が展開しているブランドは「NVIDIA GeForce（ジーフォース）」と「AMD RADEON（レイディオン/ラディオン）」です。

GeForceはよほど古いグラフィックボードでない限り、同じインストールドライバが使えるので、アンインストールが必要ないと言われています。しかし、最新のグラフィックボードを交換・増設する場合、最新のドライバでないと対応できないことがあるので、注意が必要です。

新しいグラフィックボードを増設する際に、古いドライバを削除せずに新しいドライバをインストールしても、グラフィックボードは動かせます。ただ、古いグラフィックボードのデバイスドライバが残っていると不具合が出ることがあるので、できれば削除しましょう。

削除方法は「プログラムと機能」からだけではなく、グラフィックドライバ専用の削除ツール「DDU」を使って完全に削除することをおすすめします。

グラフィックボードを増設する際に、パソコンケースを開けて内部に設置するのは面倒だと感じる人も多いと思いますが、外付けグラフィックボードを使えばわざわざパソコンを分解する必要はありません。

外付けグラフィックボードなら、ケーブルでパソコンに接続するだけで簡単に設置できます。しかし、パソコンと外付けグラフィックボードの接続端子の形状が合わないと接続できないため、事前に詳しく調査する必要があります。外付けグラフィックボードの価格は3万円～20万円程度と多岐にわたります。

グラフィックボードを2枚差しにすると、性能をパワーアップさせることができます。具体的なメリットは以下の通りです。

• 接続できるディスプレイの数が増える
• ゲームのフレームレートの向上
• YouTubeでのライブ配信の画質がアップ

などのメリットが見込めます。

ただ、グラフィックボードを2枚つけると以下のデメリットもあるため要注意です。

• 消費電力が上昇しその分の排熱量も増加する
• 排熱処理をしっかりとして各パーツを冷却する必要がある
• 組み合わせによっては不具合が増える

2枚のグラフィックボードをNVIDIAとAMDの組み合わせにしたり、最新のグラフィックボードと古いグラフィックボードを組み合わせたりすると不具合が増える危険性があります。

通常は1つのGPUで行うグラフィック処理を2つで行い、出力は1つに絞って処理能力を高めることをSLI接続と言います。SLI接続をするにはGPUチップとVRAMが同じグラフィックボード・SLI対応マザーボード・SLIブリッジ・グラフィックボードを2枚使うのに十分な電源などいくつもの条件があります。

条件が1つでも欠けるとSLIが使えなくなるので注意しましょう。また、性能が上がるといっても1枚での使用に比べて1.3～1.5倍程度なので、期待は禁物です。

SLI接続を行うにはいくつかの条件があると説明しましたが、詳しく言うと更に細かい条件があります。まず、2枚のグラフィックボードのGPUチップとVRAMの容量が合っていないとグラフィックボードを2枚差してSLI接続を行ってもマルチGPUとして動作させることができません。

単純に2枚とも同じメーカーの同じ製品なら間違いないので、確認するのが面倒な場合は同じものを購入することをおすすめします。また、SLI接続端子がないとSLI接続ができないのでそこも確認しておく必要があります。

ゲーム実況をしている方は、グラフィックボードを2枚差しにして、1枚をゲーム用・もう1枚を配信・録画用に使い分けすると便利です。1台のPCでゲームプレイと配信・録画を同時に行っても処理がスムーズにできます。

2枚目のグラフィックボードをPCに取り付け、OBSの設定を変更すると使えるようになります。追加したグラフィックボードが使用されているかどうかは、タスクマネージャーのパフォーマンスタブで確認可能です。

グラフィックボードのスペックが足りないと、最新の画像編集ソフトやゲームなどはうまく動かない場合があります。そんなとき、グラフィックボードのメモリチップを交換する改造でメモリ増設が可能です。

ただし、分解やはんだ付けなどの技術が必要で改造は補償の対象外になるため、自信のある方が自己責任で行ってください。

通常のグラフィックボードはPCケースを開いて取り付ける必要があり、手間がかかります。一方、外付けできるグラフィックボードなら接続するだけで気軽に使えて、ノートPCへの取り付けも可能です。

外付けグラフィックボードの選び方や取り付け方法、おすすめ商品を以下の記事で紹介していますので、参考にしてください。

グラフィックボードを増設すると1枚で使っていた時よりもグラフィック性能が向上し、鮮やかな映像美を楽しめます。ゲームの描画のクオリティが上がるのはもちろんのこと、マルチモニターでの作業もやりやすくなります。