PC（パソコン）のアース接続とは｜ない場合はどうする？接続のやり方も紹介

パソコンモニターの電源プラグには細い導線付きのものがありますが、この導線はアース線といい、家電製品を安全に使用するための重要なパーツです。アース接続しないとどうなる気になっている方も多いですよね。

アース接続とはアース線をコンセントなどに接続する漏電対策をいい、対策をしていない場合にはモニターが漏電してしまい、壊れたり感電したりしてしまう危険があります。

本記事では、アース線の基本的な役割・パソコンモニターでの必要性・具体的な接続のやり方などを紹介します。これまでアース線を気にせずゲーミングモニターとしてなどパソコンを使っていた方は、万が一のためにぜひ参考にしてください。

家電製品の回路が老朽化により破損すると漏電する場合があります。この電流に触れると感電してしまいますが、人体よりも電流が伝わりやすいアース線があれば電流はアース線から地面に逃げていきます。また交流の周波数で非常に特徴的な低音のノイズ（ハムノイズ）を発生させ、頭痛の原因になってしまう可能性があります。

キッチン・洗濯機周り・温水洗浄便座付きトイレなど、湿気や結露が多い場所は電流が流れやすい環境になっています。そのため、水回りにある冷蔵庫・電子レンジ・洗濯機などの家電製品が漏電した場合、感電する危険性が非常に高くなります。

水回りで使用する多くの家電製品には漏電対策としてアース線が付いています。また、飲食店の厨房・貯蔵庫などでは、法律でアース工事が義務付けられています。

水回りの漏電対策とは逆に、法律でアース線の接続が禁じられている場所があります。まず、ガス漏れや引火・爆発の恐れがあるガス管が挙げられます。また、電流を流す役割を果たせない樹脂製の水道管もアース線の取り付けには不向きです。さらに、落雷が直撃した際の危険性から電話のアースや避雷針への取り付けも厳禁とされています。

落雷などで電流が漏れ感電すると、やけど・不整脈・感覚障害などを引き起こし、場合によっては死に至る場合も想定されます。また、漏電が原因で火災や爆発などの重大事故につながる危険も。さらに、電磁波やノイズが発生すると電波障害が起きたり、人体へ健康被害を及ぼしたりといっ危険険も考えられます。

アース線を挿せるコンセントは、通常の2穴コンセントの下に「アース」と記載されたフタがあります。エアコンや水回りのコンセントをみれば確認できます。もしアース線を挿せないタイプでも、工事で取り付け可能です。

ただし、実際はアース電源がないコンセントが多く、ほとんどの方はアース線を接続せずにPCモニターを使っています。そのため、次の見出しではPCモニターでのアース線の必要性について解説します。

PCモニターの電源プラグにも一般的にはアース線が付いていますが、電源プラグだけを挿し込めばPCの使用は可能です。そもそも普通の壁にはアース線を接続するコンセントがなく、つなぎ方が分からず悩んでしまうケースも少なくありません。PCモニターにアース線があってもどうしていいか分からず、接続せずに放置している方が多くなっています。

PCモニターが原因で感電などを引き起こす危険性は極めて低いですが、アース線を使える環境にあるのなら、ぜひ接続しておきましょう。接続のデメリットは取り付ける手間がかかるくらいです。

しかし、アース線の接続はそれほど難しい作業ではないためリスクを考えるのであれば、基本的には接続している状態が望ましいです。

一般的にはあまりみられない症状ですが、パソコンやスマホなどが発する電磁波によって頭痛・めまい・吐き気などを発症する「電磁波過敏症」の方がいます。症状の程度は個人によって異なり、中には日常生活に支障をきたすケースもあります。

電磁波過敏症は現在まで治療法が確立されていません。そのため、アース線を取り付けが予防策になります。

ここではPCモニターのアースの取り方について、コンセントの形状に応じた2種類の方法を解説します。一般的に多いのはアース端子のフタを開けてネジ止めするタイプですが、直接挿し込んで固定するタイプも増えています。

フタを開けてネジ止めするタイプはドライバーを用意し、以下の手順で作業を進めます。

1. アース端子のフタを開ける。内側は爪で固定されており簡単には開かないため、マイナスドライバーを使うと開けやすい。
2. ドライバーを使ってネジを緩める。ネジは取り外さず、アース線が入る程度に調整する。
3. 金属板の下側にアース線を挟む。ネジへ巻き付けるようにすると挟みやすい。
4. ネジを締めて固定する。しっかり締まっていない状態だと、アース線がすぐに取れるため注意。
5. アース線を軽く引っ張っても外れないところまで調整したら、フタを閉める。

「2つ穴＋アース線穴」のアース線穴へ、直接挿し込む手順を解説します。

1. アース線を7～8cmほど剥く。
2. 剥き身のアース線を穴へ入るサイズに折り曲げる。
3. ねじって巻き上げサイズを調整する。
4. 穴へ入れて余分なアース線をカットする。

マンションやアパートでは、部屋によってはアースがしっかり接地されていない場合があります。接地されていない場合、電気の流れを数値で確認できる検電器を使うと、より安全に作業できます。

アース接続の端子が付いたコンセントはそれほど多くありません。端子がない場合は工事で新しく設置可能ですが、工事も難しい場合は漏電遮断器(漏電ブレーカー)を取り付ける方法もあります。ただし、アース付きコンセントに変換可能ですが、資格が必要です。

電気に関する知識や技術がないと危険なので、国家資格である電気工事士の資格を持っていないとできないので、必要な場合には専門業者へ依頼しましょう。

コンセントにアース端子はあるものの、アース線が短く届かないといったケースもあります。短くて届かない場合は、アース線自体を長いものに取り換えましょう。アース線は電機屋やホームセンターなどですぐに購入できます。アース線の延長方法・取り換え方法は下記の通りです。

【アース線の延長方法】

1. アース線の購入（必要な長さをあらかじめ調べておく）
2. 先端の芯を出し、接続されているアース線と合わせる
3. 接続部分を絶縁テープで固定
4. 固定されているか確認

【アース線の取り換え方法】

1. モニターの電源をコンセントから抜く
2. カバーを開ける
3. 中のネジを緩める
4. アース線の先端の芯を出す
5. ニッパーを使ってアース線の長さを揃えて切る
6. 芯をねじって整える
7. アース端子に差し込む
8. ネジを締める
9. アース線が固定されているか確認
10. カバーを閉め、電源をコンセントに差し込む

上記はアース端子差し込み口にネジが付いているネジタイプの場合ですが、ネジのないワンタッチタイプだとさらに簡単に取り付け可能です。

他の家電製品でアース線の端子を使っていたとしても、複数のアース線を同時に接続可能です。アース線は万が一の事態に備えるための機器なので、1ヶ所の端子に複数つなげても問題ないように設計されています。

ただし、アース線の数が多すぎると本来の役割を果たせなくなる恐れがあります。接続しにくくなるほど複数のアース線を取り付けは控えましょう。

アース接続が煩わしいと感じている人や取付工事が難しい人は、プラグ型漏電遮断器を代用するといいです。プラグ型漏電遮断器は家電製品の漏電時に電気を自動的に切ってくれる機器になっています。設置はすぐでき、一般的な配電盤の漏電ブレーカーよりも安全な機器になっています。

アース接続の代わりにもなりますので賃貸住宅などで、どうしてもアース取付工事が難しい場合などは利用してください。

アース接続をしないまま特に問題なく何年もPCを使い続けている方が多いです。しかし、漏電や故障は突然起こる可能性があり、思いがけず重大な事故へと発展するかもしれません。そのため、もし使用せずに放置しているアース端子があったら、今回紹介した内容を参考にして、ぜひアース接続を行ってください。