マザーボードとグラフィックボードとの相性・対応グラボの調べ方を解説｜互換性は？

自作PCを組むときにこだわりたいポイントといえば、高画質な映像処理が可能になるグラフィックボード(GPU)の性能です。ところが、ネット上では「グラフィックボードを購入する前にマザーボードとの相性を気にするべきだ」などの意見も見受けられます。

しかし、PCを自作する際に何を重要視するかによってPCに必要なスペックは変わります。そのため、「マザーボードとグラフィックボードのどちらを優先すべきか悩む」人も多いです。

この記事ではマザボ・グラボに関する疑問・質問を徹底解説します。また、自分に合った自作PCを組むためのグラフィックボードの選び方・相性や互換性に優れた対応グラボの調べ方を紹介するほか、優秀なおすすめグラフィックボードの最新情報もお届けします。ぜひ快適な性能の自作PCを組むための参考にしてください。

「グラボ」と「マザボ」は、両方ともPCにとっての頭脳に当たるパーツですが、役割は大きく違います。まずは「グラフィックボード」と「マザーボード」の違い・使い方を再確認しましょう。

グラフィックボード(GPU)とは、2次元・3次元データの計算処理に特化した演算装置です。PCにとっては映像・画像処理用の頭脳に当たります。PC自体はグラボがなくても動かせますが、マザボだけで映像・画像処理を行うと非常に時間がかかったり、機器構成によってはそもそも映像出力できなかったりする場合もあります。

特に自作PCを使ってゲームや動画編集をする場合、2次元データの編集や3DCGモデルをリアルタイムに演算する必要があるため、高い性能のグラボを搭載したPCを組むのが重視されるのです。

ここではグラフィックボードの一般的な仕様や設計について、もう少し詳しく解説します。主なポイントは下記の4つです。

1. 機器構成：基盤とファン・ヒートシンクで構成されます。基盤に取り付けられたGPUが熱を発するため、ファンやヒートシンクによって排熱します。
2. ②接続端子：マザーボードのPCI-Express x16ポートに接続します。ポートに挿入後、インターフェイス部分をケースのスロットにネジ留めするのを忘れずに。
3. 出力端子：商品ごとに出力端子の構成が異なります。D-sub・DVI・HDMI・DisplayPortなど、出力先モニタの端子に適合した構成の商品を選びましょう。
4. サイズ：商品によってサイズが異なります。特に長さ・厚みはPCケースとの相性に関わるため要注意です。長さはケースの内寸に収まるように、厚みは占有スロットの数に注目しましょう。

マザーボード(CPU)とはPCにとって中心的な演算装置にあたり、WEBの閲覧やファイル作成のような1次元的なデータの計算処理を得意としています。そのため、優秀なマザボを搭載したPCは「サクサク動作するパソコン」と呼ばれる場合が多いです。

しかし、マザボは2次元・3次元データの計算処理に特化していない設計のため、映像・画像処理の演算速度には大きく影響しません。PCゲームや動画編集をメインに使う場合、マザボの性能はバランスを見て選ぶのがおすすめです。

マザーボードとグラフィックボードで気になるのは相性問題です。ここからは、マザボとグラボの相性問題について詳しく解説します。

昔はマザーボードに搭載されているチップセットとの相性問題があったため、グラボとマザボを選ぶときは慎重な判断が必要でした。ところが、チップセットに相性問題があったのはPCIe以前のAGP規格の時代(2005年以前)の話です。そのため、最近のグラボ・マザボに関してはチップセットの相性による動作不良の心配はありません。

現在はグラボ・マザボの相性問題による動作不良が起きる心配はないため、対応グラボかどうかなどの互換性を気にせず自分の好きな組み合わせでグラボ・マザボを選択できます。ぜひご自分の目的に合った性能の自作PCを組んでください。

自作PCを組んでゲームをプレイする場合、遊びたいゲームタイトルが推奨するPCスペックをチェックしましょう。多くのゲームタイトルはプレイ環境の必要条件や推奨条件を公表しているので、快適にプレイするための目安として利用してください。

自作PCで動画編集をする場合、高性能なグラフィックボードを積んでいる方がストレスフリーになります。動画編集では、特にエフェクトの追加処理や動画をエンコードするときに時間がかかりますが、使用するグラボの性能が高いほど処理にかかる時間は短くなります。

グラフィックボードは高性能であるほど多くのファンを搭載したり、高性能なチップを搭載したりしているため、導入するにはスペースが必要になります。また、省スペースな設計のPCケースには大きなグラフィックボードが入らない場合もあります。すでにどのPCケースを購入するか決まっている場合は、グラフィックボードが実際にPCケースに入るか必ず確認しましょう。

GPUは非常に消費電力の大きいPCパーツです。RTX3070で220Wが仕様として表記されています。そのため、自作PCに使う電源が決まっている場合は、電源容量の範囲に収まるようにGPUの消費電力をチェックしましょう。また高性能なGPUを搭載する場合、必ずGPUを含めたすべてのパーツの電力をまかなえる電源を準備しましょう。

基本的に、GPUの補助電源はPCIソケットの場合で最大75W、6pinの場合75W、8pinの場合150Wの電力がGPUに追加されます。電源容量や他のパーツの消費電力とのバランスを考えながら、GPUの補助電源をチェックしましょう。

GPUに搭載されているグラフィックチップは、Nvidia製の「Geforce」とAMD製の「Radeon」の2種類です。各グラフィックボードメーカーとも、Geforce・Radeonいずれか1つのチップを搭載した製品を開発しています。

「メーカー」という場合はグラフィックチップの製造元と、商品としてのグラフィックボードメーカーのどちらを指すのか要注意。グラフィックボードを選ぶ際にはグラフィックチップがGeforce・Radeonのいずれかを確認するとともに、別途グラフィックボードのメーカーを選ぶ必要があります。

Geforceのメイン製品はRTX・GTXシリーズで、ゲームに最適化された設計が特徴です。Radeonのメイン製品はRXシリーズで、画質と発色が良く動画エンコードに適しています。現在のGPUの主なラインナップは下図の通りです。

ここでは、グラフィックボードをマザーボードに接続する作業について詳しく説明します。作業手順は下記の通りです。

1. 電源がオフになっているのを確認し、PCケースに接続されたプラグ類を外す
2. PCケースのサイドパネルを外し、マザーボードが上を向くようにケースを寝かせる
3. マザーボードのPCI Express x16ポートが空いているのを確認
4. 占有スロット数に合わせて、PCケースのスロットカバーを外して空きを確保
5. PCI Express x16スロットにグラフィックボードの接続端子を挿入。端子の切り欠きに注目
6. 端子インターフェイス部分をネジ留め・固定
7. 補助電源の必要な機種であればピン数に合わせて電源プラグを接続（6ピン・8ピン）
8. PCケース・プラグ類を元通りにし、電源投入

ネットサーフィンやYouTubeの視聴程度であれば、グラフィックボードが必要なほどではありません。そのため、CPUに搭載されているグラフィック機能で、鑑賞に堪える映像出力が可能です。ただし、CPUによってはグラフィック機能を搭載している場合といない場合があるので、その点についてはよく確認しておきましょう。

マザボとグラボからHDMIを同時出力できたら便利ですよね。HDMI端子がついているタイプのマザボであれば、BIOSの設定を変更すると、2つを同時出力して使用できます。

BIOSで「IGD Multi-Monitor」を有効にしたうえでそれぞれ付属のHDMIケーブルで出力したいモニターと接続するだけ。マザボにHDMI端子がない場合は、変換用ケーブルを購入する必要があります。

高画質なグラフィックが魅力のゲームのプレイやエフェクトにこだわった動画編集も、優れたCPU・GPUを積んだ自作PCならサクサク動作します。ぜひこの記事を参考に、自分に合った優秀なCPU・GPUを選んで快適な性能の自作PCを組んでください。