おすすめのPCケースメーカーを解説｜選び方や各メーカーの特徴も【自作PCに】

PCを使い慣れてくると、やがてはPCそのものを自らの手で作り、性能を自分好みにカスタマイズしたくなるものです。そしていざPCを自作しようとなった時、多くの方はグラボや冷却ファンなど、PCのパフォーマンスを高めるパーツにばかり目を奪われてしまいます。

しかし自作PCを不自由なく使うためには、使用するパーツがしっかり収まるPCケースを選ばなければいけません。またPCケースの構造は冷却力や拡張性など、PC自体の性能も大きく左右するので、中身のパーツ以上に注意深く仕様をチェックする必要があります。

とはいえ、どのPCケースメーカーの製品が自分に適しているか、スムーズに判断するのは困難です。そこで本記事ではおすすめのPCケースの選び方に加え、各メーカーの最強人気製品や特徴を詳しく解説していきます。「日本製のものはあるの?」といった疑問も解決します。ぜひ最後までご覧ください。

Mini-ITXは、マザーボードの中で最もコンパクトな規格です。コンパクトな省スペースモデルから、キューブ型など変わったデザインの製品まで、あらゆるPCケースに問題なく収めることができます。

しかし搭載できるパーツの数が限られているため、性能や拡張性にはあまり期待できません。また差込口などが非常に小さく、初心者には組み立てづらいのも難点です。

Micro-ATXは、Mini-ITXとATXの中間に位置する規格です。ある程度の拡張性を備えつつ、Mini-TXとほとんど変わらないサイズを実現しているため、高性能かつコンパクトなPCを作り上げることも不可能ではありません。

ただMicro-ATXに関してはそもそも扱っているメーカーが少ないので、作りたいPCに合った製品を見つけるのは困難を極めます。

ATXはマザーボードの中で1番大きく、そして最も高性能な規格です。コネクタやスロットの数が多いため拡張性に優れ、また差込口などが大きいことから組み立てもしやすいため、初心者から上級者まで広くおすすめできます。

ただしATXタイプは、ミニタワーなどの小さなPCケースには収まりません。また全体的に高価な製品が多いので、予算や設置スペースに無理のない範囲で購入を検討してください。

ミニタワーは文字通りサイズの小さなPCケースであり、ある程度狭いスペースにも手軽に設置できます。またスリム型やキューブ型など独特なデザインの製品が多く、インテリアとして映える製品をお求めの方にもおすすめです。

ただ内部に収まるパーツの数は限られており、マザーボードに関してもATXなどの大きな製品はまず入りません。

ミドルタワーはPCケースにおける平均的なサイズであり、拡張性と設置しやすさを両立している点が魅力です。またミニタワーより扱いやすく、フルタワーほど多くのパーツは入らないため、組み立てやメンテナンスの易しさはミドルタワーが1番といえます。

対応するマザーボードの種類も豊富なので、「とりあえず」で選んでも大きく失敗することはありません。

フルタワーはPCケースの中で最もサイズが大きく、ありとあらゆるPCパーツを収めることができます。また内部のスペースが広いぶん、ファンの冷却効率も上がるので、オンラインゲームなど高負荷なPC利用においては特におすすめです。

ただ設置スペースの問題が生じるのはもちろんのこと、製品価格もミドル以下に比べて大分高くなっています。

冷却性能というとCPUクーラーなどをイメージされる方が多いですが、実はPCケース自体の素材や構造も冷却効率に大きく関わっています。メッシュ素材のパネルによってケース内部の通気性を高めるなど、排熱しやすくするための工夫の有無は要チェックです。

またPCケースには、ファンなどの駆動音を抑える役目もあります。防音につながる工夫としては「二重パネル」や「吸音パネル」などが挙げられるので、静音性重視の方はぜひ製品検索の際にこれらのワードを含めてみましょう。

なお冷却性能と静音性は基本的に反比例するので、使用シーンを想定しながらちょうどいいスペックの製品を選ぶよう心がけてください。

ベイとはHDDなどのドライブを収める場所で、デスクトップPCにおいては3.5インチ以上のベイが必要とされています。一方スロットとはグラボなどの拡張カードを差し込む場所であり、十分な性能のPCを作るのに最低2スロットは欲しいところです。

いずれも数が多いほど拡張性に優れますが、そのぶんPCケースのサイズも大きくなっていくので、PCの拡張性は設置に支障のない範囲で追求してください。

最近のPCケースは機能性だけでなく、見た目にもこだわった製品が続々発売されています。キューブ型などおしゃれな形状の製品や、虹色に発光するRGBライティング機能を備えた製品など、デザイン性を高める工夫は挙げればキリがありません。

見た目のかっこよさを重視したい方は、ぜひ製品選びの決め手としてデザイン性に着目してみてください。

サイドパネルの素材がアクリルや強化ガラスだと透明なため、PCケースの内側が見えます。マザーボード・ファンにLEDが付いたタイプなら、なおさら内側が見えるようにしたいですよね。内部が見えるサイドパネルなら、PCケースを開けずにPCの不調・不具合・ホコリなどが確認できるので、デザイン性以外でのメリットもあります。

ANTECのPCケースは、内部スペースの広いミドルタワーがメインとなっています。ファンの搭載可能数が多いほか、大型の水冷ラジエーターなどもすんなり入るため、冷却設備を充実させたい方には特におすすめです。

またほとんどの製品がRGBライティングに対応しているので、ひとたび起動すれば高揚感が増すこと間違いありません。

Cooler MasterのPCケースは、設置しやすいミニタワーや強化ガラス製の防音モデルなどを主に取り揃えています。駆動音や窮屈感といったタワーPC特有の煩わしさがほとんどないので、使いやすさ重視の方にはピッタリのメーカーです。

また全体的にシンプルかつスタイリッシュなデザインの製品が多いので、インテリアとしても違和感なく使えます。

GIGABYTEのPCケースは特殊な強化ガラスで耐久性を高めているほか、ダストフィルターを搭載するなどお手入れのしやすさもピカイチです。1つの製品を長く使っていきたい方にとっては、これ以上ないおすすめメーカーといえます。

ただ2021年3月現在、GIGABYTEのPCケースは非常に品薄となっており、中古価格もかなり高い状況です。同社の製品が欲しい場合は、急ぎでなければ値段が落ち着くのを待ちましょう。

Thermaltakeはミニタワーからフルタワーまで多種多様なPCケースを発売しており、いずれも非常に高い拡張性を備えています。とりわけ拡張カードの搭載スペースが圧倒的に広いので、最新の高性能グラボなどを使いたい方にはピッタリです。

CorsairのPCケースはベイやスロットが豊富に設けられているほか、洗練された内部設計により各パーツの配置を柔軟にカスタマイズできる点が魅力です。また冷却力と静音性を高いレベルで両立しており、総じて欠点の少ないメーカーといえます。

NZXTのPCケースはパーツの取り付けやケーブルの配線など、一連の組み立て作業がこの上なく手軽に行なえます。また多くの製品がケースの裏側を隠せる構造になっており、初心者でもスタイリッシュなPCを組み上げやすい点が大きな魅力です。

実は日本のメーカーもPCケースを販売しています。たとえば最高級ケースとの呼び名がある汐見板金の「AX2」はフルアルミ製で5万円弱の高級PCケースです。長尾製作所はＰＣケースではなく、中身がむき出しのフレームケースを製造しています。

残念なことに、星野金属の「アビー」は、生産が終了してしまいましたが、現在は「コンピューケースジャパン」事業を引き継いでいます。このように日本のメーカーは高品質ですが、高額でもあります。希少価値も高いので、じっくり選んでから購入がおすすめです。

PCケースは自作PCにおける最重要パーツであり、各メーカーの特徴を把握したうえで最適の製品を選ぶ必要があります。PCの自作に興味を持たれた方は、ぜひ本記事で紹介したPCケースを購入し、自分好みのPCを作り上げてみてください。