エアフロー効率の高いPCケース6選｜自作PCに！冷却や正圧・負圧の違いも解説

エアフローとはPCケース内部における空気の流れを良くする設計です。PCが作動すると発熱が起こるので内部に熱がこもりやすくなります。自作PCでは、エアフローの設計をしっかり考えるのが大切です。

しかし、PCケース内にはさまざまなパーツがあるので、内部をどのように設計すればいいか分からない人も多いです。設計によっては空気の流れが悪いとパソコンに悪影響を及ぼす可能性もあります。

そこで今回は、正圧と負圧の違いやエアフローの可視化について説明します。また、パソコンで冷却すべき内部パーツやおすすめPCケースも紹介しているので、購入を検討している人はぜひ参考にしてください。

エアフローをPCケースに取り入れる主な目的は大きく2つあります。1つめはパソコンの内部に熱がこもらないよう、PCケース内の空気の流れのバランスを適切な状態に維持するためです。

2つめは高い水準のオーバーロックを行うためです。オーバーロックには、CPUの性能を極限まで高める役割があります。内部が高温のままだとオーバーロックが正常に働かないので、不具合が起こる場合も珍しくありません。

また、熱がこもり続けると内部パーツにストレスがかかるため、一般的な寿命よりも短くなる可能性があります。場合によっては故障に繋がってしまうので、パーツをしっかり冷やせる流れを設計しなければいけません。

CPUとは、パソコン上の計算処理や制御を行う重要なパーツです。CPUは通常内部に搭載されたCPUクーラーによって冷却されます。しかし内部の空気温度が高くなると冷却機能が低下させてしまうので気を付けましょう。

また、OC（オーバークロック）によってCPUがよく70度を越える場合は上部ファンで補助するのがおすすめです。上部ファンは主に排気の役割があるのでエアフローを考える際は参考にしてみてください。

VRMは「Voltage Regulator Module」の略で電源のひとつです。VRMの冷却は、PC内部に搭載されたエアフローやCPUクーラーの空気の流れによって熱が外へと排出されていきます。VRM周辺も熱がこもりやすいパーツなので、エアフローにも十分に配慮する必要があります。

電源のパーツ部分には通常換気用のファンが搭載されているものがほとんどです。電源内部で冷却された空気はパソコンの平面へと排気されます。また近年はパソコンの下部に底面ファンが設置されているものも多く、冷却された空気を取り込むために冷却効率が高いものも増えています。

ディスプレイと機器を接続するための規格「グラフィックボード」。高機能が求められるグラフィックボードはCPU以上に温度が上がる部位で、VGAカード周辺はエアフローに配慮しなければいけません。またサイドパネルが塞がるPVケースの場合は、エアフローだけが頼りになります。

メモリーとは、必要なデータを一時的に保存するためのパーツです。メモリーは高速なほど稼働率も高まるので、熱がこもりやすくなります。またメモリーが重なると熱がこもる原因になるので、PC内部のエアフローの設置方法には十分に配慮する必要があります。

チップセットはマザーボードに取り付けられているパソコンのパーツです。パソコンに搭載された機器を繋ぐ役割があります。チップセット周辺に熱がこもった状態で使い続けると、場合によってはパソコンが動かなくなる恐れもあります。

HDDは、写真や動画などのデータを保存できる大容量記憶装置です。重要なパーツですが、HDDは熱に弱くパソコンの寿命にも大きく影響する部分になります。また、HDD周辺のケーブルや拡張カードなどがエアフローの邪魔になる場合もあります。

HDDと同じく記憶媒体であるSSDも、冷却する必要があります。特にM.2 SSDに関しては消費電力も大きく発熱しやすいといった特徴があります。ヒートシンクの取り付けはマストですが、それだけでは冷やしきれないので、エアフローの導入も考慮する必要があります。

エアフローの種類には、「正圧」と「負圧」の2タイプがあります。それぞれの特徴が異なるので、正しく理解してどちらを選ぶのか確認しましょう。

正圧タイプのエアフローは、ファンが強く吸気に強いのが大きな特徴です。PCケースの隙間から空気が出るタイプなので内部に埃が入りにくいです。ケース内部に埃が溜まるとエアフローの流れが滞るので冷却機能が一気に下がる場合もあります。そのため、PCケースには正圧タイプが適しているといわれています。

正圧とは真逆の負圧タイプは、排気に強いのが大きな特徴です。ケース内部に空気が入りやすいので、埃が溜まりやすいデメリットがあります。せっかくファンにフィルターを取り付けても埃で効果が半減する可能性も高いので、PCケースにはあまり適さないといわれています。

ファンは内部に効果的に空気を送り込みますが、選び方を間違えると、十分な効果を発揮してくれずパソコンの劣化に繋がる場合もあります。そんな重要なパーツであるファンは、最大静圧が高いタイプと送風量が多いタイプに分かれます。

最大静圧が高いタイプとは、密封された空間に多くの空気を送り込めるファンです。複数のケーブルが入り込んでいたり空間が限られていたりする場合にはおすすめのタイプだといえます。

ただし、空間が開けた部分にファンを設置するなら最大静圧が高いタイプではなく送風量が多いタイプのほうがおすすめです。どんなPCを自作するかで適したファンの種類も異なるので、特徴に合わせて選びましょう。

ファンも向きを逆に取りつけてしまわないように、取り付け前にしっかりと確認するのが重要です。ファンの多くは裏側(排気側)にロゴ・シールが貼ってある・モーターの支えがある・ブレードが少し膨らんでいるなどの特徴があるので見分けは難しくありません。

小さいものや低価格のものは見分けがつきにくいものもあるので、その際は一度電気を通してみてティッシュなどを使い風向きを確認するのがおすすめです。

まずファンを思い浮かべるときに一般的なものが、本体の正面と背面に付いたタイプといった人も多いのではないでしょうか。正面から涼しい空気を本体内に取り込み、内部を冷やして、背面から熱い空気を出すといった構造のものが多くあります。

このタイプは、ホコリの溜まりやすい空気の吸い込み口が前面にあるのでフィルター交換などの掃除が比較的しやすく、冷却効率が落ちにくいといった点もメリットです。

一般的に、冷たい空気は下に・暖かい空気は上に行くといった性質があります。そのため、底辺ファンを使えばパソコンの底側から空気を持ち上げられるので、より冷たい空気をパソコン本体内に通過させられるといったメリットがあります。この場合、上面にもファンをつけて熱い空気を逃がす先を用意しておくのが効果的です。

ただし、底面はどうしても床のホコリを吸い上げやすいといったデメリットもあるので、掃除はこまめに行うよう心掛けてください。

PCケース上部に設置されているものを天板ファンと呼びます。熱い空気は上に行く性質があるので、その上部から空気を逃がすファンをつけておけば、効率よくPC本体内部の熱を逃がせます。ただし、上から降ってくるホコリがPC内部に入りやすいのがこの形状のデメリットです。

気になる場合は、シートタイプのファンフィルターなどを貼っておくと、ホコリの侵入をかなり防げるようになるのでおすすめです。

エアフロー以外の冷却方法として「簡易水冷」が挙げられます。簡易水冷とはヘッド・ラジエーターにポンプが内蔵されたクーラーで、ラジエーターによっては空冷を上回る性能を発揮します。メモリやソケット周辺部と干渉が少なくて済むので初心者でも扱いやすいです。

自由度の高い設置性があるのは魅力的ですが、動作音源としてポンプが増えるので、静音性は空冷のほうが優れている場合が多いです。

2007年に設立したスウェーデンのFractal Designによる「Torrent」が注目されています。エアフローの最大化を目指して設計されたPCケースで、カラーリング・サイドパネル・標準搭載ケースファンのRGB LED対応の有無などから、7種類のバリエーション展開です。

ケース内部は、正面に180mmファンを2基備えているだけではなく、底面に140mmファンを3基備えています。また、ケース底面からの効率的な吸気が行えるように、電源ユニットはケース天板側に配置するなど、まさにエアフロー特化型の最強モデルといった構造です。

自作のPCケースを作るなら、最低限のエアフローを取り付けるのがおすすめです。ケース内部に熱がこもり過ぎると、場合によってはパソコンの寿命を縮めかねません。最低限の冷却機能を備えるPCケースを作りましょう。