発熱してる？SSDの温度の確認方法｜M.2 SSDの適正温度やソフト・熱対策も

長時間パソコンで作業を続けていると、本体がかなり熱くなっていませんか？ あまりにパソコンが熱くなると故障を招いたり、パソコンの寿命を縮める要因になるので危険です。

パソコンが熱を持ってしまう原因のひとつは、HDDやSSDの発熱によるものです。特にSSDはHDDに比べてアクセス速度が速いので、データを高速処理する時に消費電力が増し、高温になる場合があります。パソコンで作業を行う以上、発熱は避けられませんが、未然にSSDの温度が上がりすぎないようにする対策は可能です。

そこで今回は、SSD温度の確認方法や適正温度、M.2 SSDの対策について解説します。また、SSDの温度をフリーソフトで確認する方法も見ていきます。異常発熱で大切なデータを失うなどの最悪の事態にならないよう、しっかり対策しておきましょう。

まず最初に、SSDの適正温度は何度までか把握しておきましょう。単にSSDの温度を下げるのを目的とするのでなく、どの程度まで下げるべきかを考える必要があります。

SSDの適正温度は、およそ50℃以下です。高くても60℃を超えないよう気を配りましょう。60℃を超えると故障や劣化の可能性が高まり、70℃を超えるといつ壊れてもおかしくない危険な状況になります。SSDはHDDに比べて処理能力が高く発熱も少ない特徴がありますが、それでも作業を続けるとすぐに40℃近くまで温度が上昇します。

50℃以下であれば正常範囲ですので、過剰に心配する必要はありませんが、注意します。さらに、最近ではM.2 SSDがスタンダードになりつつあります。M.2 SSDの適正温度も同じく50～60℃です。負荷がかかってしまうと70～80℃に達するため、ヒートシンクや冷却ファンを装備するのがおすすめです。

SSDはHDDよりもコンパクトで薄型ですが、実はHDD以上に適正温度の幅が広く、適応性に優れています。しかし、極端な差があるわけではないため、基本的な適正温度はHDD準拠と考えるのが無難です。

HDDの適正温度がおおよそ20～40℃なので、SSDでも同程度の温度を目安にしましょう。50℃までは耐えられる点を考慮すると、SSDは20～50℃までの間で運用するのがおすすめです。

SSDには熱暴走を防ぐ安全装置「サーマルスロットリング」が備わっています。温度が上がりすぎるとSSDが危険を察知して自動的に処理を遅くしたり、動作を停止させるなどして、安全な温度を保とうとする機能です。

目安として70℃を超えると温度センサーが働き、安全装置が作動します。SSDが身を守ろうとして起こる症状なのですぐに故障するわけではありませんが、危険信号が出ている状態です。

SSDの劣化が進むと、スムーズにデータの読み込み・書き込みができないなど、動作に支障が出てきます。さらに悪化すると、保存していたデータが破損してしまいます。

破損したデータは復元が難しい場合がほとんどなので、このような症状が確認され次第、速やかにデータのバックアップを取りましょう。日頃からSSDの動作が鈍くなるなど、頻繁に違和感を感じるようになったら危険信号です。

一般的にSSDの寿命は5年程度とされています。しかし、SSDは高温に弱い性質があるため、高温状態で使い続けると、想定年数よりも早く寿命を迎えてしまう場合があります。完全に寿命がきてしまえば、SSDへのアクセスおよびデータの取り出しも困難です。できるだけ長期間、正常に動作させるためにも、温度には気を付けてください。

高温になった際の危険性についてご説明してきましたが、実は温度が低すぎても動作が鈍くなる場合があります。SSDの動作保証温度は0℃～70℃の設定が一般的なので、氷点下での使用は避けるべきです。70℃を超えるのはもちろんNGですが、0℃を下回ると起動できなかったり、正常な動作がしづらい状態になります。

特に、パソコン内部と周囲に温度差がある場合、結露による故障の可能性があります。あまりに本体が冷えている時は、室内の温度を上げてパソコンが少し温かくなってから起動させましょう。

SSDの温度はフリーソフトを使用して簡単に温度測定できます。おすすめのソフトは「CrystalDiskInfo」です。適正温度であれば青色で「正常」、異常を検知すると黄色で「注意」、赤色で「異常」と感覚的にも分かりやすく、SSDの状態を表示します。

このソフトには自動更新機能が備わっており、設定すると3分・5分・10分など好みの時間間隔でSSDやHDDの健康状態のチェックが可能です。

冷却ファンが正常に動作しているかは重要です。ファンにホコリが溜まってスムーズに動作しなくなると、パソコン内部の熱がうまく排熱できなくなり、SSDの温度上昇に繋がります。

また、長らく使用しているPCだと、冷却ファン自体が故障している可能性も考えられます。パソコンにとって冷却機能は命綱です。正常に動いているか定期的に確認し、必要に応じてメンテナンスするように心がけましょう。

PCを使用する環境が極端に高温だと、当然パソコン自体の熱も下がりにくくなります。直射日光が当たるような場所でのパソコンの使用は控えましょう。また、先述したように、氷点下の環境でもパソコンにとって適切な温度が保てません。周囲の気温とパソコンとの温度差が大きい場合は、エアコンなどで室温を調整してください。

動画の視聴や編集・デフラグ（ファイルの断片化解消）・ウイルスチェックといった作業は、パソコンに大きな負荷がかかっています。そういった作業を長時間連続していると、絶えずSSDが稼働しているので熱が上昇しやすいです。

高負荷がかかると考えられる作業を行う時は作業間隔を開けて、定期的にSSDを休息させましょう。一度にかかる負荷を減らせるように工夫してください。

パソコンを通気口が壁に密接するように設置しないようにしましょう。通気口を塞ぐように物が置かれていたり、ホコリが溜まって空気の通り道がなくなったりすると、吸排気が阻害され、PC内部に熱がこもってしまいます。

SSDの温度が上がりすぎた場合、最も速やかに冷却するなら 電源をオフにしてください。オン・オフは本来パソコンに負荷のかかる動作です。あくまでSSDが発熱しすぎた場合の対処方法として理解しておきましょう。

通気口や冷却ファンを通しての排熱は、パソコンの正常な動作を維持するためにも重要です。ホコリなどが溜まって排熱を妨げないように、通気口やファンは定期的に掃除を心がけてください。

掃除機やモップなどでホコリを取り除きましょう。内部のホコリは掃除しづらいと思いますが、エアダスターを使用すると手の届かない範囲も掃除が行き届きます。

より冷却機能を強化するために、ファンを強力なものに交換したり、スペースに余裕があればファンを増設する方法もあります。直接SSDに風が当たるよう設置するとより効果的です。頻繁に高負荷をかける使用状況の方には適しています。

一時的に大きな負荷をかける作業をする場合には、扇風機やサーキュレーターを使用して強制的に外から風を当てて冷却するのも、一定の効果が見込めます。

頻繁にSSDが高温になる状況であれば、ヒートシンクを導入するのもおすすめです。パソコンの内部に設置すると、部品から発生した熱を放熱します。

特に、一般的なSSDよりも発熱しやすい「M.2 SSD」には、専用のヒートシンクが販売されています。M.2 SSDを使用しているパソコンだと、アイドル状態(なにも処理を行っていない状態)であっても50℃以上に温度上昇する場合もあるので、対策は必須です。

最近ではSSDを搭載したノートPCも増えてきました。デスクトップよりも直接本体に触れる機会も多く、発熱が気になる方は多いです。あまりに高温になって心配なようでしたら、ノートPCに搭載できるヒートシンクも販売されているので、使用を検討してください。

外付けで冷却できるアイテムの活用は手軽でおすすめです。ただし、早急に冷やしたいからと、保冷材などで冷やすのはNGです。結露の発生など、パソコン故障の原因に繋がります。また、結露により精密機械であるSSDの他、パソコン内部の部品も損傷する恐れがあります。

外付けHDD/SSDが発熱した場合の対処方法として、まずは前述の通り電源を切りましょう。そして「ファンなどにほこりが溜まっていないか」・「室温は適切か」・「PCの通気口が塞がれていないか」を確認してください。いずれもPC内部に熱が溜まってしまう原因です。

また、負荷が大きい作業を長時間連続して行うのも控えてください。作業時間の間隔をあけたりしてなるべく負荷をかけないよう配慮しましょう。

ノートPCを利用している方におすすめのアプローチとして、ノートPC本体に外から風を送って冷却する方法があります。中でも高い効果があるのが、冷却ファンが付いたスタンドを利用する方法です。

本体の増設・改造が難しいノートPCに対し外部からアプローチするため、非常に手軽で簡単です。給電はUSBで行うため、煩雑な手順もいりません。少し予算がかかりますが、費用対効果は大きいので、ぜひ検討してください。

ノートPCならではのもう1つアプローチとして、電源設備を利用せず緩衝物を利用して放熱させる方法もあります。ノートPC本体を熱伝導性の高い金属製PCスタンドに乗せて放熱効率を高める方法で、間接的なヒートシンクの役割を果たします。穴空きのメッシュ仕様だと熱が逃げやすいため、より効果的です。

SSDをデスクトップPCで運用している場合は、PCケースの拡張性を活かし空冷ファンを増設する方法もあります。PCケース内のエアフロー強化にもつながるため、SSDだけでなくグラフィックボード・マザーボードもまとめて冷却できて一石二鳥です。

増設用のPCケースファンを購入する際は、サイズと風力を確認してください。USB端子付きで外部接続できるタイプは増設作業が不要で、扇風機代わりにもなるため手軽に扱えます。

発熱しているSSDを保冷剤を使用して冷却するのは避けましょう。精密機器であるSSDは、水に強弱いです。保冷剤を使用して急激に冷やした場合、パソコン内に温度差で結露が生じたり、保冷剤の水滴などで濡れてしまったりして、パソコンのトラブルにつながる可能性があります。

SSDの使用環境は、高温の場所はもちろん、低温すぎる場所も避けた方がいいです。0度以下の環境では、正常に動作しない場合があります。さらにパソコンと使用環境の温度差が大きいと、パソコンに結露が生じ、トラブルにつながる可能性があります。

SSDの適正温度は0〜60度です。トラブルを引き起こさないためにも、適した使用環境で使うようにしましょう。

SSDの熱対策をしても、正常にパソコンが動作しなかったり、動作が遅い場合には、修理業者に相談しましょう。修理会社は、SSDの熱暴走によるトラブルの修理や対策に対して、知識も技術も長けているので安心して預けられます。

メーカーに直接修理依頼をすると、ほとんどの場合データが初期化されますが、大手の修理会社はデーターのバックアップをとってから作業を行うため、データが残った状態で返却されるのがメリットです。また、電話1本で即日サポートサービスを依頼できるのも大きな魅力です。

ただし、メーカーでも修理業者でも、トラブルの内容によっては対応できない場合もありますが、多くの場合は対応可能です。修理業者による修理の見積もりは無料でできるので、まずは一度相談することをおすすめします。

HDDよりも衝撃に強く、データ処理の速さに長けているSSDは、今後も益々活躍の場を広げてきそうです。温度管理には気を付ける必要がありますが、ご紹介したような対策が多くあります。大切に使用すれば、寿命といわれる5年を過ぎても快適に使える可能性のあるアイテムです。ぜひ、本記事を参考に試してください。